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地域薬学ケア専門薬剤師その1

薬剤師の中には、専門薬剤師の認定をもった人たちがいます。がん専門薬剤師や感染制御専門薬剤師、精神科専門薬剤師など…。その領域のエキスパートです。がん専門薬剤師などは、がん診療拠点病院の要件になっていたりもします。もちろんその認定を取るためには、学会発表をしたり論文を書いたり、症例報告をしたり、研修を受けたり、試験に受かったり、となかなかにハードルが高いです。一般的には、薬局では色々な科にかかった患者さんに対応するのに対し、病院の薬剤師は担当病棟をもち、ある程度その科に特化して対応することが多く、専門薬剤師の要件にあるようなその症例を集めるといった場合には薬局薬剤師よりも、病院薬剤師の満たしやすいということがあります。

 

今回、地域地域薬学ケア専門薬剤師という制度が新設されました。当初はあまり気にしていなかったのですが、薬剤師会からの案内などもあり、確認してみようと目を通してみました。(地域薬学ケア専門薬剤師制度には、「地域薬学ケア専門薬剤師」と、「地域薬学ケア専門薬剤師(がん)」がありますが、今回のお話は前者の方となります。)

 

一般社団法人日本医療薬学会地域薬学ケア専門薬剤師認定制度規程の第1章 総則より、

 

第1条 一般社団法人日本医療薬学会(以下、本学会と略記)の地域薬学ケア専門薬剤師認定制度は、地域包括ケアなどの地域医療・介護における切れ目のない薬学ケアに対応するため、幅広い領域の薬物療法における高度な知識・技能と臨床能力を備え、かつ社会から信頼される薬剤師の養成と、認定者による社会への還元を促進することにより、国民の保健・医療・福祉に寄与することを目的とする。

 

 

モリワキ薬局の目指すところでもありますね。

 

第4条 「地域薬学ケア専門薬剤師」とは、幅広い領域の薬物療法に関する高度な知識と技能を用い、地域包括ケアなどの地域医療・介護等を担う他職種と協働し薬物療法を実践することにより、患者に最大限の利益をもたらすとともに研究活動を実践出来る者として、本学会が実施する専門薬剤師認定審査に合格した者をいう。

 

問題はこの審査要件ですね。

 

2 「地域薬学ケア専門薬剤師」の認定を申請する者は、以下の要件をすべて具備することを要する。

(1)日本国の薬剤師免許を有し、薬剤師として優れた人格と見識を備えていること。

(2)薬剤師としての実務経験を5年以上有すること。

(3)申請時において、引き続き5年以上継続して本学会会員であること。

(4)「日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師」、「日本病院薬剤師会日病薬病院薬学認定薬剤師」、「日本薬剤師会・生涯学習支援システム(JPALS)クリニカルラダー5以上」、その他本学会が認めた認定制度による認定薬剤師のいずれかの認定を受けていること。

(5)本学会が認定する「地域薬学ケア専門薬剤師研修施設」において、本学会の定めた研修ガイドライン(カンファレンスへの参加を含む)に従って、地域薬学ケアに関する5年以上の研修歴を有すること。

(6)別に定めるクレジットを5年で50単位以上取得していること。

(7)専門薬剤師認定取得のための薬物療法集中講義に1回以上参加したこと。

(8)本学会の年会に1回以上参加したこと。

(9)自ら実施した5年の薬学的管理を行った症例報告50症例(4領域以上の疾患)を提出すること。

(10)以下の研究活動のうち、発表あるいは論文の条件のどちらか一方を満たすこと。学会発表:医療薬学に関する全国学会あるいは国際学会での発表が2回以上あること。本学会 が主催する年会において本人が筆頭発表者となった発表を含んでいること。 論文:本人が筆頭著者である医療薬学に関する学術論文を1報以上有すること。学術論文は、国際的あるいは全国的学会誌・学術雑誌に複数査読制による審査を経て掲載された医療 薬学に関する学術論文あるいは症例報告であること(編集委員以外の複数の専門家による査読を経ていない論文は、本条の対象外)。

(11)本学会が実施する専門薬剤師認定試験に合格すること。

 

このすべての要件を満たす必要があるようです。「クレジット」というのは、日本医療薬学会が関与する学会などについてくる独自の単位のことです。年会で10単位、集中講義15単位、といったものがあります。

印象としては、やはり厳しい。ただ、制度規程細則の6章に、

 

地域薬学ケア専門薬剤師等の認定に係る過渡的措置 (過渡的措置期間)

第12条 2020年度~2024年度まで「地域薬学ケア専門薬剤師」の認定申請に限り、次の第 13条から第14条までの過渡的措置を講ずる。

(地域薬学ケア専門薬剤師の過渡的措置の要件)

第13条 地域薬学ケア専門薬剤師の暫定認定を申請する場合、認定制度規程の第4条の2に係る 要件は以下の通り取り扱うこととする。

2 要件(3)については、申請時に本学会会員であれば良い。

3 要件(4)については、本学会「認定薬剤師」から移行した「医療薬学専門薬剤師」、「日本病 院薬剤師会生涯研修履修認定薬剤師」であってもよい。

4 要件(5)については、不要とする。

5 要件(6)については、講習会の履修単位数を20単位とする。副領域を標榜する場合には、その領域の集中講義を履修し、その証明書を提出すること。

6 要件(9)については、不要とする。

7 要件(10)については、学会発表1回(筆頭)または論文報告(筆頭)1報があればよい。副領域を標榜する場合には、副領域の学会発表または論文報告とする。

8 要件(11)については、不要とする。

9 過渡的措置により認定された地域薬学ケア専門薬剤師の認定期間は5年である。

 

過渡的措置として、制度設立からしばらくは少し要件が緩和されています。研修や試験を受けなくても、暫定ではありますが、地域医療ケア専門薬剤師になれるようです。(ただし、最初の更新時までには基本的に本来の要件をすべて満たす必要があるようです。)

 

もし地域医療ケア専門薬剤師の認定を目指すなら、この過渡的措置の期間中はチャンスかもしれません。

 

ということで、次回につづく。

  2020/09/05   moriwaki-ph

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